PCのキッティング業務では、専用の工場や作業拠点に機器を集め、複数台をまとめてセットアップすることがあります。一方で、対象のPCは納品先である顧客企業のネットワーク環境に合わせて設定しなければなりません。
- 顧客企業のActive Directory(AD)にPCを参加させる
- グループポリシーを適用する
- 顧客企業の社内サーバーや固有のシステムと通信できるか確かめる
- キッティング後の動作確認を行う
こうした作業には、キッティングを行う拠点から、顧客企業の社内ネットワークへ接続できる環境が必要です。この記事では、PCキッティング事業者が抱えやすい接続まわりの課題と、ForceLink を使った構成の考え方を整理します。
この記事でわかること
- PCキッティングで接続環境が課題になる理由
- 作業拠点から顧客企業へつなぐ構成の考え方
- 前身サービスでの導入例
- ヒアリングから利用開始までの流れ
作業拠点と顧客企業が離れている
キッティングの作業場所と顧客企業の所在地は、異なることが少なくありません。作業そのものは自社の拠点でできても、顧客企業側のネットワークに届かなければ、ドメイン参加や通信確認ができない場合があります。
複数の企業から業務を受託していると、次のような課題が重なります。
1. 顧客企業ごとにネットワーク環境が違う
使っているルーターやネットワーク機器、IPアドレスの体系、サーバーの構成は、顧客企業ごとに異なります。「顧客ごとに接続環境をどう用意するか」を、案件のたびに検討することになります。
2. VPN機器の設定・運用に手間がかかる
主業務がキッティングである事業者にとって、VPNの構築と運用まで自社で担うのは負担になります。顧客企業から設定済みのルーターを借りて作業拠点に置く方法もありますが、顧客企業側にネットワークの専門担当者がいない場合も多く、準備に時間がかかります。案件は短期間で終わるものもあれば、中長期にわたるものもあります。
3. セキュリティ面の要件がある
顧客企業の社内ネットワークへつなぐ以上、「とりあえずインターネット経由でつなぐ」わけにはいきません。顧客企業のセキュリティポリシーを確認し、誰が・どこまで届くのかを決めたうえで接続する必要があります。考え方は 協力会社・外部委託先に社内システムを使わせる時の注意点 にまとめています。
ForceLink で作業拠点から顧客企業へつなぐ
ForceLink は、オフィスに置くBOXと企業ごとに分離したクラウド中継を使って、社外から社内ネットワークへ接続するリモートアクセスのサービスです。PCキッティングでは、次の構成を検討できます。
| 場所 | 役割 |
|---|---|
| 顧客企業の拠点 | ForceLink BOX を設置する |
| キッティングの作業拠点 | 作業用のPCから、顧客企業のBOXへ接続する |
| 接続先 | 顧客企業のADサーバーや、作業に必要な社内システム |
作業拠点側に必要なのは、インターネットに接続できる環境です。拠点のルーター同士を常時つなぐ拠点間VPNとは方式が異なり、作業に必要なPCから、必要な宛先へ接続する形になります(違いは リモートアクセスVPNと拠点間VPNの違い をご覧ください)。
この構成には、次の利点があります。
- 顧客ごとに接続を分けられる:顧客企業ごとにBOXと接続先を分けるので、複数の受託案件を並行して進めやすくなります
- 届く範囲を絞れる:ADサーバーなど、作業に必要な宛先に限って接続する設計ができます
- 案件が終わったら止められる:利用者ごとのアカウントを、案件の終了にあわせて停止できます
- ネットワークの負担を減らせる:機器の設定と接続確認を当社が支援するので、キッティングの作業に集中できます
※ 実際の構成と接続の可否は、顧客企業側のネットワーク環境、利用するシステム、セキュリティ要件を確認したうえで個別に検討します。複数拠点での利用や現地での設置作業は個別見積です。
前身サービスでの導入例(機械製造メーカーA社)
ForceLink は新しいサービスのため、ForceLink としての導入事例はまだ公開していません。ここでは、前身にあたるワンタッチVPNサービス(おうちワークBOX)での導入例を紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| お客様 | 機械製造メーカーA社(社員1万人超) |
| 導入前の状況 | PCのキッティングは、お客様の拠点に期間限定で部屋を借りて行っていた。ADサーバーやDNSサーバーは社内(オンプレミス)にあった |
| 課題 | 新型コロナの流行で、自宅などからのリモート接続が必要になった。新しいPCを用意するためだけにオフィスへ出向くことを避けたかった |
| 構成 | お客様の拠点に機器を設置し、社外から社内ネットワークへ接続 |
| 当社の作業 | 初期の設定作業 |
| 導入までの期間 | 1週間弱 |
| 導入後の対応 | 社内アプリやプリンターなど、接続先の追加設定 |
お客様からは、社員がPCの受け取りや設定のためだけに出社する必要がなくなった、という評価をいただきました。
導入の流れ
通常は、ヒアリングシートをいただいてから、内容に不備がなければ1週間から10日程度で機器を設定し、出荷しています。
- お問い合わせ:現在のキッティング環境と課題をお聞かせください。「作業拠点から顧客企業へつなぎたい」という段階でも構いません
- ヒアリングシートの記入:社内LANのIPアドレス帯、デフォルトゲートウェイのIPアドレスなどを記入していただきます
- 構成の確認:いただいた情報をもとに、顧客企業側で必要なポートが使えるかを含めて確認します
- 出荷前の検証:当社で同じ条件の環境を用意し、接続できることを確かめてから出荷します
- 設置と接続確認:機器を設置したあと、接続できるまで当社がサポートします
- 利用開始:遅延などがないか、安定して使えるようになるまで対応します
こんなときにご相談ください
- キッティングの作業拠点から、顧客企業のADサーバーへ接続したい
- 顧客ごとに接続環境を用意する手間を減らしたい
- VPNの設定・運用を自社だけで担うのが難しい
- 顧客企業からネットワークやセキュリティの要件を示されている
- 新しい作業拠点を開設する、または今の接続環境を見直したい
まとめ
- PCキッティングでは、作業拠点から顧客企業の社内ネットワークへ接続できる環境が必要になります
- 顧客ごとに環境が違うため、接続環境の用意が案件のたびに負担になります
- 顧客企業側にBOXを置き、作業拠点のPCから必要な宛先へ接続する構成で、準備と運用の負担を減らせます
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